ソウルから野球愛
文・室井昌也
Text by Muroi,Masaya

日韓を行き来し韓国野球を知り尽くした筆者が、知られざる韓国野球の世界をご案内!!

KBO(韓国野球委員会)公認
『2004韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(小学館スクエア)絶賛発売中!!
韓国野球サイト(www.strike-zone.jp)運営中。

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2004.4.4.6 開幕

 4月4日、2004年の韓国プロ野球が4球場で一斉に開幕した。国民的打者・イスンヨプが日本入りし、大きな話題はないが、3人の40代新監督の采配や移籍した新戦力に注目が集まっている。開幕当日は数日前の予報をいい意味で裏切る晴天に恵まれ、各球団必死の広報活動の甲斐もあり、歴代開幕戦最多となる83,253人の観客が4球場に集まった。開幕2連戦は全チーム1勝1敗と横並びのスタート。昨季、開幕から連敗を抜け出せなかったトゥサンとロッテは共に新監督ということもあり、ホッと胸をなで下ろしていることだろう。
 日本のファンが気になる日本球界経験者たち、選手では2年目を迎える、サムソンのコジヘン(高山智行・元タイガース)、同じサムソンには元スワローズのケビン・ホッジスが加入した。開幕投手としてロッテと相対し7回4失点で、勝敗には関係なかったがローテーションを軸となるのは間違いないだろう。
 また、昨季ジャイアンツに所属していたゲーリー・ラスがトゥサンに復帰。2戦目に登板しキアを7回散発3安打1失点と狙い球を絞らせず、キムギョンムン監督に初勝利をプレゼントした。LGにはブルーウェーブにいたウィン(登録名・フタド)も加入した。
 首脳陣ではソンドンヨル(元ドラゴンズ)が各球団の監督就任ラブコールの末、サムソンのヘッドコーチに落ち着いた。トゥサンで12年コーチを務めたソンジェバク(吉本博・元ホエールズ他)は今季より2軍監督に、キアの投手コーチ池内豊(元タイガース他)がスコアラーに転身、キャンプ・オープン戦とLGで臨時コーチを務めていた藤田学氏(元ホークス)も今月中旬までチームに帯同の予定だ。人数は少ないがそれぞれ韓国球界での生活を送っている。
 これらの選手・コーチの活躍にも注目していただきたい。

(本欄担当者が著者の「韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑」小学館スクウェア刊定価1,000円 おかげ様で好評発売中です。紀伊国屋書店他、全国有名書店でお求めください。)
撮影:室井昌也


2004.3.19 日本初!現地にもない『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』発売!

 イスンヨプの56号ホームランに沸いた昨季。その国民的打者が去り、スターを失った韓国プロ野球。国内での人気スポーツ一番の地位は動かないものの、今季、韓国球界が活気を保ち続けるのは難しそうだ。しかし、日本ではイスンヨプが千葉ロッテ入りし、今まで全くといっていいほどなかった韓国球界への関心がわずかながら増えつつある。そのイスンヨプが日本入りを決める前から出版を準備していた本がこの程出版される。
 『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』。KBO(韓国野球委員会)公認のこの本、全球場の観戦ガイドとカタカナと漢字、ハングルで書かれた全8球団の選手名鑑、応援講座や歴代記録、野球場で使える韓国語講座も掲載されている。
 読み物としてもイスンヨプが韓国球界の魅力を語り、韓国で2年目のシーズンを迎える元阪神の高山智行(コジヘン)、韓国球界創成期と今を知る、東映-日拓-日本ハム-阪神で活躍したアンダーハンド・宇田東植、西武黄金期のショートストップでLGのコーチを務めた清家政和という日韓両球界を知る人達のインタビューも載っている。
 韓国プロ野球の本というとマニア的に思えがちだが、写真満載で野球ファンなら「野球場へ行きたい!」と思える作りになっている。また、野球に強い関心がなくても「韓国らしさ」を感じられる写真も豊富で、韓国観光公社提供の球場周辺観光ガイドもあり、「ガイドブック」としても活用出来る1冊だ。
 ここまで宣伝させてもらったのは、そう、私が著者であり編集・取材・写真を担当しているからだ。Ballpark TIME!誌・山岡編集長と伊藤茂樹さんにもご協力をいただき、3月29日の発売を間近に控えている。小学館スクウェアより定価1,000円(税込)、B6判・オールカラー・全112ページで全国有名書店にて発売なので韓国プロ野球に興味がある人もない人も是非お手にとっていただきたい。
撮影:室井昌也


2004.2.20 韓国で有名な日本人プレーヤー

 本欄は韓国球界に関するコラムだが、今回は日本のプロ野球選手について。といってもマリーンズに入団したイスンヨプに関連しての話題だ。
 日本のメディアのみならず、当然韓国でも注目されているイスンヨプ。日本からメジャーへ進出する選手達同様、彼の動きひとつひとつが本国でも報じられている。日々、人目に晒される状態で高いレベルを保つということは、超一流選手が持つ強い精神力なくしてはできないだろう。
 そんな報道の中から、以前、野茂とバッテリーを組んだマイク・ピアザが日本でも有名になったように、今、韓国でイスンヨプのニュースが伝えられる時に、数多く名前が挙がる選手がいる。イスンヨプと同ポジションの福浦和也だ。 
 韓国メディア特有の、ふたりの守備位置争いをあおるような報道で「フクウラ、フクウラ」繰り返されている。韓国の野球ファンに「日本で知っている選手は?」と聞くとイチロー、松井秀喜といったメジャーで活躍する選手に続いて、松坂、上原といった名前が挙がるが、今ならその中に福浦の名が挙がることだろう。形はどうあれ両国の選手の情報が行き交うことは、面白いものだ。
撮影:室井昌也


2004.1.30 キャンプイン

 日本よりも一足先にキャンプインした韓国球界。冬の寒さが厳しい韓国、各球団とも海外に脱出し3月の上旬までみっちりと練習を行う。
 常夏の島・ハワイでキャンプを張るのはキア、サムソン、ハンファの3球団。2月下旬にはヒョンデがフロリダからハワイ入りし、キア、ハンファと練習試合を行う。サムソンはヒョンデと入れ替わりに沖縄へ移動。その沖縄ではSKが具志川でキャンプを張る。
 南半球はオーストラリアで汗を流すのは、シドニーのLGとゴールドコーストのロッテ。LGは2月中旬に沖縄、ロッテは2月下旬に小倉へとそれぞれ日本入りする。
 日本でキャンプインしたのは大分・津久見のトゥサン。昨年、ハワイで一部選手が事件を起こしたことから、今季は日本のみでのキャンプとなった。
 日本球界経験者達は、日韓のキャンプを比較して、レギュラークラスと一軍半の選手との実力差があり競争意識が芽生え難いこと、コーチの役割分担が曖昧になるケースが多い点などを挙げた。どちらも日本でもあることだが、韓国の場合、それが顕著だという。
 練習方法については、器具を使ったウェイトトレーニングを好む選手が多いとの事だ。日韓で現役を務め、コーチも経験した宇田東植氏(元東映-日拓-日本ハム-阪神-ヘテ-キアコーチ)は「投手として柔らかい筋肉をつくらなきゃいけない選手も、じぶんを大きく見せるだけのトレーニングをしがち。」と唱える。投げ込み不足も提唱した。
 「力で表現するタイプが多い。」と語ったのは清家政和氏(元阪神-西武-ヤクルト-西武コーチ-LGコーチ)。多くの首脳陣もパワーを求める傾向にあり、選手もそれに応えようとする。技術面の向上の為、日本からコーチを招くのだが、諸々の事情から長い期間にならず、定着せずに終わっている。両球界の人的交流がもっと盛んになれば、更にレベルアップできるのだが。
撮影:室井昌也


2004.1.16 イサンフンSKへトレード

 昨年9月26日の本欄でも紹介し、ドラゴンズでもプレーしたイサンフンがSKへトレードとなった。LGの看板選手で野球ファンでなくとも知られるスタープレーヤーだが、今回移籍に至ったのはイスンチョル新監督との衝突が要因のひとつだ。
 音楽を愛するイサンフン。ロッカールームやキャンプ先へもギターを持ち込み弾き語りを披露していたが、青年監督はチーム内の和を乱すとそれを認めない考えだったようだ。
 日本在籍時もキャンプ中、自室にスタッフを招きギター演奏。その腕前はオフにライブ活動を行う程で、若手バントとセッションを組み、「引退したらアーティストかな」という言葉も冗談に聴こえない。長髪でギターをつま弾き、高音をシャウトする姿は、とても野球選手には見えない。単なるライブではなく、ファンミーティングや病床に倒れる先輩選手へのチャリティーを兼ねているというコメントで、彼がプロ野球選手であることを思い出させる。
 ただ、この事が主たる移籍原因ではない。今季LGはキアよりチンピルチュンを獲得。昨季は活躍できなかったもののソウルへ戻った守護神の加入で、イサンフンの起用法にも苦慮していたところだった。キャプテンを務めていたが、今シーズンはイビョンギュが就任。年明けになって移籍が実現という形になった。
 イサンフンが加わったSKは、アジア選手権でも登板したチョウンチョンと2枚ストッパーとなる。地元出身選手は少ないものの、昨年の韓国シリーズ進出でがっちりとインチョンファンのハートを掴んだSKは新たにスターを獲得し、更なるアピールを図る。
 ピッチング以外で騒がれてしまったこのトレード。ライブで彼がファンに配った渡米時代のボールに書かれた文字は18.44。マウンドというステージが本当の勝負の場所だ。
撮影:室井昌也


2004.1.9 FA選手達の行方

 各チームの戦力がほぼ出揃った。FA権を取得した選手では、11月21日の本欄でご紹介したマヘヨンはキアへ移籍。これによってイスンヨプ、マヘヨンと3、4番打者を失うサムソンは、日本でも活躍したソンドンヨル氏のコーチ就任に沸いたものの、その後はヒョンデから二塁手・パクジョンホを獲得するにとどまり、大幅な戦力ダウンは否めない。
 その一方で、大型補強をしたのがロッテ。ハンファからイサンモク、トゥサンからチョンスグンを獲得した。チョンスグンは98年から4年連続の盗塁王。2000年のシドニー五輪で日本チーム相手に、元気いっぱいのプレーをしていた姿をご記憶の方もあるだろう。ロッテは3年連続最下位からの脱却を目指す。
 また、昨季トゥサンからキアへ移ったストッパー・チンピルチュンはLGへ入団。1年でソウルへ戻ることとなった。
 イスンヨプというスーパースターを欠いた韓国球界。それぞれのスター達が地元を盛り上げる活躍をすることが重要だろう。
撮影:室井昌也

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